KOEOTO

【KOEOTO】田中英行
 

今回の【KOEOTO】は音響監督・田中英行さんです。『北斗の拳』『一休さん』など選曲で活躍され、『新世紀エヴァンゲリオン』『爆走兄弟レッツ&ゴー』『機動戦艦ナデシコ』など音響監督としても多くの作品を手がけられています。また2016年10月より当連盟の名誉会員になられました。
音声業界に入られたきっかけ、音響監督としての想い、そして後進の皆さんへのメッセージを伺いました。

❖音声業界に入ってからの道のり

─どういうきっかけで音声制作の仕事に入られたのですか。

学生時代に番町スタジオにアルバイトに入ったのがきっかけで、この仕事を始めることになりました。1964年のことですね。 アルバイトはまず映写の仕事から始めるんですよ。スタジオのシステムとしては、映写をやって、それから助手をやる。助手というのはレコーダーという機械を扱う仕事です。それからミキサーになる、という三段階になっていたんです。レコーダーはMEなどの貴重なものを扱うので正式に会社に入らないとやれなかったんです。ですからアルバイトの時は映写ばかりでした。

シネコーダ 映写の仕事では、吹替えの演出をするディレクターの指示で指定された場面の画を出さないといけないのですが、それをするのがアルバイトの中で僕が一番速かったんです。アフレコ中に自分なりに考えて、映写しながらディレクターから指示が出そうなところに紙をポンポン挟んで、そこにマークを打っておくんです。後から役者さんが録り直しや別録りをするときにそこの画をスっと出すんです。その映写の対応が速いというのが買われたのか、この仕事にむいているから社員になれと言われて社員になりました。

ミキサーになるのは早かったですね。2年半ぐらいでミキサーをやらせてもらっていました。だいたい5年ぐらいかかるものでしたけれど。 私が助手としてついた方が安達さんというミキサーで、一番怖い人だったんですね。遅いと怒られたので、とにかく速くやらなきゃなりませんでした。
当時、番町スタジオにきていた音声制作会社には、有村放送プロモーションさん、千代田プロダクションさん、オムニバスプロモーションさん、東京プロモーションさん、グロービジョンさん、東北新社さんというようなところがありました。たいていの音声制作会社は番町スタジオでアフレコをやっていましたね。

当時の番町スタジオには5つぐらいスタジオがありまして、外画ばかりでなく、歌のレコーディングやコマーシャルもやっていました。
番町スタジオは1943年頃に新宿区南元町に移転したんですが、その頃から私はアニメーションの『あしたのジョー』のミキサーをやりました。音響演出がグロービジョンの左近允洋さんで、後のオーディオ・プランニング・ユーの浦上靖夫さんが選曲、編集が後の現の松浦典良さん、助手に番町スタジオの原田がついていました。
当時は30分のアニメーションで使用するセル画の枚数が12,000枚ぐらいあったようですが−−今はだいたい4000枚ぐらいとか聞きますが−−このアニメーションには僕も感動しましたね。ボクシングですからマウスピースが口から飛び出すシーンがあったんですが、そのマウスピースがリングに落ちるまで15分ぐらいかかり、その間にすごい枚数のセルが使われていました。
毎週、収録が終わると主演のあおい輝彦さんと酒を呑みましたよ。帰りが同じ方向だったんです。あおいさんは声の仕事は初めてでしたけど、とても勘の良い方でした。アニメーションも役者さんも、もちろんスタッフも素晴らしくて、非常に面白い作品でしたね。


─番町スタジオを離れたきっかけはどのようなことですか。

35か36歳の時に番町スタジオを辞めました。経営が悪くなっていたのか、その当時、月給が10万円ぐらいのはずだったんですけど、3万円ぐらいしか出なくなって。30歳で結婚していたので、これでは生活できないのでどうしようかと思っていました。この業界を辞めようかな、とすら考えていました。
その時期、東映アニメーションの『大空魔竜ガイキング』という作品でミキサーをやっていました。その現場で、フリーになろうかと思うと話したら、「東映の仕事をしてよ」と言われまして。ここでも腕を買ってくださる方がいたんですね。
それから今の事務所がある貸しビルに入ったんです。すぐに会社を起こした訳ではないのですが、4人ぐらいの人間がいました。個人事務所で一種の技術者の養成みたいな感じでやっていました。

東映アニメーションの仕事では選曲をたくさんやりましたね。ミキサーをやっていましたが、選曲もできないかと言われて『北斗の拳』とか『一休さん』とか…選曲をした数は数知れずという感じで、ちょっとわからないぐらいやっています。

 
NEWS
田中英行 田中英行
(たなか ひでゆき)

1942年生まれ、北海道出身。 アニメーション音響監督。 株式会社 AUDIO・タナカ 代表取締役社長。当連盟名誉会員。 1964年、番町スタジオにアルバイトで入り、1966年入社。選曲・ミキサーを経て音響監督に。1990年 株式会社 AUDIO・タナカを設立。以後、音響監督として数多くのアニメーションを手掛ける。また1988年よりシグマ・セブンで教鞭をとり、多くの役者を育てる。

○主な作品○
【アニメーション】
『新世紀エヴァンゲリオン』『少女革命ウテナ』『爆走兄弟レッツ&ゴー』『機動戦艦ナデシコ』『アキハバラ電脳組』『セイバーマリオネット』『怪傑蒸気探偵団』『スーパービーダマン』『ボーイズビー』『ラブひな』 他多数。

【KOEOTO】バックナンバー

Vol.04_田中英行
Vol.03_本田保典
Vol.02_戸田奈津子
Vol.01_山寺宏一

お問い合わせ

〒160-0004
東京都新宿区四谷三丁目8-9
三井ビル5階
TEL:03-3350-1951
FAX:03-3350-1953
E-mail:info@onseiren.com